No.52  続・距離感 〜「社会化」の誤解。

 

 

 

前回は「距離感」が犬の気持ちを雄弁に物語っていることについて書きましたが、
特にその距離感を私が意識するのが、「社会化」です。
 

 

 どうして知らない人や犬が苦手になるの?
 昔は大丈夫だったのに… 触らせてくれなくなった!
 物音に敏感で、神経質な子なんです。
 嫌だったら避ければいいのに、吠えかかるのはなぜ?
 
これらは性格や気質の問題だけではなく、根底に「社会化不足」があることは広く知られるようになってきましたが、では「社会化不足」って何なんでしょう??
 
経験不足?
 
確かに。
でも、ただの経験不足ではない証拠に、
 
 たくさんの人に出会う環境でした(ペットショップにいれば必然的に出会うよね。)
 小さい頃はよく犬と遊んでいました(仲の良いお友達犬は大丈夫なんです!)
 パピーパーティーに参加しました(社会化のためのはずが…)
 
と、社会化を意識していたつもりなのに、なのに… 社会化不足なのはなぜ?とという疑問をいただくことがあります。
 

 
そんな時いつも私が感じるのは、そこに「心地よい距離感」があったのか?ということなのです。

 

 

 

 

例えば、いつも元気いっぱい興奮して歩いている子は、頭の中もいっぱいいっぱい。
周りが見えておらず、毎回初めて出会ったかのような状態のままであることが多いよう。
 
緊張感でいっぱいの子も同じ。
緊張した嫌だったという経験をいくら重ねたところで、「大丈夫」になる訳がありません。
 
ただ会わせればよいのではなく、その子にとって心地よい距離感の中で
 
 今回も大丈夫だった
 今回も冷静でいられた
 今回も気にする必要がなかった
 
という経験をしてこそ、本当の意味で周囲で起こったことを受け入れていくのでしょう。
 
社会化は「慣らす」ではなく、「自然に慣れる」環境を整えること。 
ひいては、安心感を育てること、だと思うのです。 
    

 

 

 

例えば、公園を歩いていれば、知らず知らず人も犬も自転車も通る。

いろいろな物音もすれば、話しかけてくれる人もいるでしょう。

 
日々心地よい距離感で出会っている対象には、自然と安心感が芽生え、自然に距離も縮まっていく。
自然と「自分と相手にとって」心地よい距離感が身に付いていきます。
 

 
そんな社会化の場面で一番大切なことは、リードをゆるめていること

(犬が引っ張っている?いえいえ、もしかしたら引っ張っているのは飼い主さんかも!?)。
 

リードで制限したり誘導しなければできないのでは不十分!

自ら考えて自ら心地よい距離感を作れる力を養うことこそが大切なのです。

 

 

  

 

実は、ただ歩いているだけのような何でもないことが「社会化」の一番の近道だとわかると、そんな程度でいいの?と驚かれる方もいらっしゃるのですが…
「社会化」=慣らすというイメージばかりが先行し、犬たちが必要としている距離感を無視してしまっていることが多いのかもしれませんね。
 
ひょっとして、頑張り過ぎ?頑張らせ過ぎ??

 

 

 

怪しい人からお菓子くれるって言われたって、安心感は生まれないよね、という当たり前の感覚でいいんですヨ。
 
先日のレッスンでは、宇宙人が目の前にいたらいきなり握手します?と例えたら笑われましたけど(笑)

 

 

 

 

知識としては知っていても、うまくいかないのは、
こうしたささいな距離感やタイミングだったりするのでした。
 
God is in the detail.

 

 

Aug, 2017

 

 
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